■エンジン■
G161W (Solex x2)
G180SS (SU x2)
G180S (Rochester)
G180WE (ECGI) |
発売当初の117クーペの心臓であるG161Wは、直列4気筒・1584ccの8バルブDOHCで、グロス計測で120ps(当時はエンジン単体での出力表示のため、現在一般化している車載状態で表示するネット計測よりも1割ほど大きめとなる)を記録しました。
設計のベースとなったのはアルファロメオの旧型エンジンであると言われていますが、スカイラインが台頭するまでサーキットでは敵なしだったベレットの、後期モデルGT−Rにも搭載された名エンジンです。
ちなみにベレットは日本車で初めて4輪独立懸架を採用した乗用車だということは、あまり知られていないかもしれません。
その後、昭和45年には、パワーユニットも1.6リッターのG161Wと、1.8リッターのG180の2系統となり、新しく追加されたSUツインキャブ仕様の1817ccSOHCエンジン、G180SSは115psを出力しました。
また、DOHCのG161Wには、これまでのソレックス・ツインキャブ仕様に加え、日本初の電子制御燃料噴射装置(ECGI= Electric Control Gasoline Injection) を搭載したユニットが追加されました。
ガソリンの量をコンピュータで調節するこの電子制御インジェクションを初めて搭載した1600ECのパワーは、130psに達しました。
翌、昭和46年暮れには、G180のロチェスターシングルキャブ版が追加され、このエンジンを搭載した1800Nは、価格も136万円と、一般庶民には高嶺の花でしかなかった117クーペを、より身近なものとしました。
昭和48年、月産千台の量産体制が整うと同時に、G161W搭載車は姿を消し、代わって、SOHC版のG180をDOHCヘッドに換装した1.8リッターDOHCエンジン、G180Wが登場しました。 |
既存のSOHCエンジンをDOHC化する手法は、ヤマハが自社のモーターボートのエンジンにDOHCヘッドを載せてトヨタ2000GTに提供して以来、トヨタが得意としていた手法でした。
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これにより、117クーペのエンジンバリエーションは、
DOHC+ECGI
DOHC+SUツインキャブ
SOHC+SUツインキャブ
SOHC+ロチェスターシングルキャブ
の4グレードとなりました。この時のG180WにECGIを搭載した1800XEでは140psを叩き出しました。117クーペが最もパワフルだったのはこの時、つまり昭和48〜49年のモデルでした。(左は昭和48年の雑誌広告) |
しかしこの後、立ちはだかる昭和50年の厳しい排出ガス規制の前に117クーペは、DOHCモデルで130psまでのパワーダウンを余儀なくされました。この年、SUツインキャブ搭載車は姿を消し、代わってSOHCにもECGIをチョイスしたモデルが追加されました。
昭和53年11月には更に排気量を2000ccまでアップしたG200を搭載したスターシリーズが登場しました。ちなみに、このシリーズからリア・エンブレムに配された2つの星☆☆は、2000ccの"2"を意味します。
新たに点火系にフルトラを採用した新エンジンは、DOHCのG200Wで135psとなりましたが、基本的には初期のG161Wと設計が同じであり、もともと経済性重視のオーバースクエア型の構造であったこのエンジンは、同じ様な排気量でも4バルブ化された他社のツインカムエンジンに比べ、明らかに動力性能面では劣っていました。
このころ既に、117クーペは「魅力を失わない不滅の造形美と、とどまることを知らない進化からいつの間にか取り残されたシャーシー&エンジン」とが同居している状態だったように思います。
55年式XEに乗る私が、「こんな小柄なボディーでも2リッター・ツインカムだ」と言っても、周りは疑いのまなざしを向けます。確かに、2000ccクラスのクルマで、117クーペほどエアコンによるパワーダウンが顕著にでるクルマは、恐らくないでしょう。
但し、昭和50年代に入ってからの運輸省の厳しい排出ガス規制攻勢により、日産などの国内主要メーカーが次々とDOHCエンジンの生産を中止し、救世主のように現れたターボチャージャーに飛びついていった中、「ツインカム」にこだわり続けたのは、結果的にトヨタといすゞだけだったというのも、紛れもない事実なのです。
ちなみにこのG200Wは、昭和56年6月に発売された初代ピアッツァまで引き継がれ、後にSOHCターボの4ZCIにその座を明け渡し、いすゞのフラッグシップエンジンとして初代117から続いた15年間の役目を終えました。
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また、昭和54年12月のマイナーチェンジから、いすゞのお家芸であるディーゼルエンジン搭載車がラインナップに追加されました。新開発の2200ccディーゼル、Q−D2200型は、世界で初めていすゞが開発した、始動時の予熱時間を殆ど感じさせない「QOS(Quick On System)」が採用され、ディーゼルエンジンの常識を超えたと言われました。 |
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