640diary... Update:2019.02.10


3Dプリンタ (Creality Ender-4)の組立て

1)Oct/2018 3Dプリンタの組み立て 
2)Jan/2019 3Dプリンタケースの製作 
3)Mar/2019 3Dプリンタケースの改良 
4)Sep/2019 オートレベルセンサー撤去 


20181023日。
注文していた3Dプリンタが届きました。

Amazonには逆T型のフレームの物が多く、僕が欲しいものがなかったので、初めてアリババ系のAliExpressを利用して、3万円台のボックスフレームタイプのキットを購入しました。

中国通販サイトからの買い物にはやや不安がありましたが、なんとか届きました。


が、配送でちょっとトラブルが...
自分としては安全を見たつもりで配送会社にFEDEXをチョイスしたのですが、これが裏目に出たようです。

なんと深セン市から札幌(北海道にはFEDEXの拠点はなく外部委託になる)までになると、追加で60ドル必要と注文後数日してからいきなり言われ....

結局、FEDEXの国内拠点から20分くらいの東京都内在住(当時)の実弟宅に配送するようにしてもらい、1900円で弟に宅配便で札幌に発送してもらい事なきを得ました。


自分が選んだのは、Creality Ender-4っていう、RepRap Prusa i3の亜種。
(厳密にはPrusa i3とは別物→後述)

RepRapっていうのは、Adrian Bowyerさんという英国の大学の先生が立ち上げたFDM(熱溶解積層法)方式の3Dプリンターに関するプロジェクト(RepRap.org)のことです。

2009年に特許が失効し、RepRap.orgプロジェクトによってオープンソースとして仕様が公開されたFDM方式の3Dプリンターはいくつかあり、Prusa i3RepRapの仕様に則って作られた機種の中で最も有名かつ普及している3Dプリンターのひとつです。


そしてCrealityは、RepRapプロジェクトによりFDM方式の仕様が公開されたことでウジャウジャ湧いてきたPrusa i3の亜種を製造する中国メーカーの中の一つで、EnderCreality製品のシリーズ名の一つです。

まあ、その「ウジャウジャ」のお陰で価格破壊が起こって、今では1万円そこそこから3Dプリンタを入手可能なわけですが(笑)

中でも逆T型フレームタイプのEnder-3はコスパに優れた最大のヒット商品で、自分が購入したBOXフレームタイプのEnder-4が販売終了して事実上Ender-5に置き換わってしまった20192月現在もAmazonなどで扱われています。


Ender-3に代表されるPrusa i3の亜種は、RepRap Ver.2.0(Mendel)がベースとなっています。
一方Ender-4は、BOXフレーム構造のRepRap Ver.1.0(Darwin)に近いと思われます。

更に、X軸とZ軸をガントリーとノズルヘッドの移動で制御し、Y軸をヒートベッドの前後移動で制御するEnder-3に対して、Ender-4X軸とY軸がガントリー&ノズル移動で、ヒートベッドの上下動がZ軸制御を司るという動作構造的な違いもあって、ソフトウェア的な部分を共有しているとしても、両者は「別の物」と考えた方が良いのかも知れません。(Wikiなどを参照)

自分の購入したEnder-4は、本体は3万円弱ですが、オートレベリングセンサー、フィラメント切れセンサー、レーザー彫刻ヘッドの3オプションを含めたフルセットを加えて3.5万円ほどになりました。


一気に価格が安くなった理由の一つに、完成品ではないキット販売が普及したことも要因として挙げられると思います。
梱包がコンパクトになって輸送コストも抑えられるので、ネット通販全盛の今の時代にもマッチしていますね。

自分が今回購入したEnder-4もキットです。
キットといっても数点のユニットをコネクタで繋ぐだけで完成するものから、電源線ですらビス止めっていうレベルのものまで色々あるようで、Ender-4は後者の方(笑)。

自作PCを組める自分でも正味4〜5時間掛かりました。



自分がこのEnder-4を選んだのは、
印刷サイズ:220×220×300mm
印刷速度:最大200mm/sec
フィラメントサイズ:φ1.75mm
対応材料:PLA,ABS,TPU,木質,カーボンなど
ノズル温度:最大260
ベッド温度:最大100
ノズル径:0.4mm
印刷:SDカード、PC→USB
ファイル形式:STL,OBJ,G-Code
オートレベリング対応
フィラメント切れ警告センサー対応

というスペックと、構造的に安定し、強度もある金属製のBOXフレーム構造であったことが理由でした。

高さ300mm位まではカバーしたかったことと、家庭用3Dプリンタでは最速クラスの200mm/secの印刷速度、汎用性の高い1.75mmフィラメントに対応していること、ノズルとベッドの温度がABSに対応できること、家具のパーツ用途に木質フィラメントに対応していること、オートレベリングセンサー対応、そして予算ができれば2万円台...を条件として探しました。

まあ、実際は3万円を超えてしまったし、オートレベリングセンサーは買い直しが必要だったし、印刷開始時の素材の定着や印刷中の反りの問題で、実際は200mm/secの速度が難しそうだというオチはありましたが...(笑)

ただ、積層方向のためコンマ数ミリずつの移動で済むZ軸に対して、移動距離が大きいX,Y軸の内、Y軸を印刷物が生成されるベッドの移動で制御するEnder-3(Prusa i3)の印刷方式は、印刷速度を上げにくいというデメリットがあるのでは?と考えました。

まあ、実際はコスパも耐久性もEnder-3が上らしいし、フレームの組み方やパーツの組立性を見直した改良型の後継機種Ender-5が発売された事もあって、我がEnder-4は短命で終わりました(笑)。
自分はEnder-3を使ったことが無いので分かりませんけれど(^^;

下の写真は組み立て終わった状態のもの。



まずは、組み立てを始める前にパーツを確認していきます。
これはアルミフレーム。筐体のメイン部材です。


電源モジュール。


Slipwayと呼ばれる、ノズルをXY方向に動かすための滑車パーツ。


真ん中にある板はPlatform support plate、台座...ですね。
右にあるのはノズルヘッドユニット。


黄色いのがエクストルーダーモーター(E軸)、その下がX/Y軸モーター。
その横にあるのがX/Y軸パッシブ・ブロックという名前のパーツ。その他は電源スイッチやキャップ、ねじ類。


LCDパネル、マザーボード、電源ケーブル、Z軸モーター、リミットスイッチ、モーターケーブル、クーリングファンなど。


左上のモスグリーンのパーツがオートレベリング用の非接触型センサー、フィラメント切れセンサー、レーザーヘッド、左手前がホット・ベッド・ボード、その他付属工具やアクリルパーツなど。


アルミフレーム装飾用のビニールチューブ、SDカードとカードリーダー、防眩眼鏡、ノズルの目詰まり用ピン、USBケーブル。
真ん中の板材は、おまけのレーザー彫刻用の素材らしい。
まあ、この写真のものは皆おまけみたいなものです(笑)


さて、組み立てていきます。
まずはフレームを組んでいきます。(2019.10.26 23:30)



6面組み上がった状態。(2019.10.26 23:35)


裏返してゴム足を取り付けます。(2019.10.26 23:53)
付属のねじ類はほぼ全てが六角穴付ボルトでどうも作業性が悪い。
プラスねじの方が絶対作業効率が良い....と思いました。


ホットベッドと台座を取り付け。(2019.10.27 0:33)
「触るな!」って書いてあるけど、この黄色いテープは剥がせと言わんばかりのラフな貼り方。
そーっと剥がしていって途中で気がつきましたが、これは剥がしちゃ駄目なヤツです(笑)


この4隅のねじでレベリング調整をするのですが、オートレベリングセンサーを装着すれば、あまり調整で使う事はない....はず....



Bearing seatというZ軸方向の動作を安定させるサポートシャフト用のパーツを取り付けます。(2019.10.27 1:09)


サポートシャフト(T rodと言うようだ)の取り付けを完了。(2019.10.27 1:45)


ちなみに、後から気が付いて直したのですが、この写真のホットベッドの向きは間違っています
90度右回転させて、正面から見てケーブルが右奥から出ている状態が正解。


Z軸を取り付けた。(2019.10.27 1:49)


Z軸のリミットスイッチ。
これはオートレベリングセンサーを接続すると、不要になるようだ。
...っていうか、オートレベリングセンサーのケーブルをマザーボードに差すので、このスイッチのケーブルを物理的に繋ぐ場所がなくなります。


ノズルヘッドユニット。
オートレベリングセンサーは、横壁に取り付けます。


ノズルヘッドユニットの装着完了。(2019.10.27 3:03)


Y軸のリミットスイッチ。


オートレベリングセンサー。
(このセンサー、検出厚が薄すぎてガラスベッドやマグネットベッドを使うと検出できなくなるため、後から別のセンサーに交換しました)


下の写真は後日交換した方のセンサー。
しかし、このセンサーにも問題が発生。

常温のベッドで印刷可能なPLAでは良いのですが、ABSを扱うためにベッドを加温すると、温度上昇するに従いセンサーの検出厚が大きくなる!

何じゃこりゃ?

ABS
の時に1層目のフィラメントが定着しなくてかなり悩んでいたのですが、どうやらこれが原因だったようです。

常温時に調整したノズルのクリアランスが、加温時にこのオートレベルセンサーの狂いのせいで大きくなり、印刷時にノズルから出るフィラメントがベッドにほとんど接地していないことに気がつく。

センサーが壊れたかと思って同一品を再度購入しましたが、結果は同じで、更に常温時に1個目は8mmあった検出厚が2個目では5mm程度に。(製品のばらつき)

結局、Start時のG-Codeを編集し、印刷開始時に自動的に実行されるAUTOHOMELEVEL BED(AUTO LEVELING)を実行しないように変更して対応することにしました。
元々、ベッドを加温する前にどちらも自分で実行していたため、印刷開始直前にわざわざ自動でこれらが実行される必要性を感じていなかったので、ちょうど良かったのかも(^^;

価格も価格だし、中華クォリティを過信しちゃいけません(笑)


フィラメントエクストルーダー。(2019.10.27 3:06)
今日はここらで寝ます。



おはようございます(笑)
昨夜の続きです。マザーボードの取り付けと配線。(2019.10.27 8:14)


電源モジュールの取り付け。
ケーブルは下部のターミナルにビス止めで取り付けます。(2019.10.27 8:28)
電圧切替スイッチが初期状態で220Vになっていたら、110Vに切り替えないといけません。


LCDパネルの取り付け。(2019.10.27 8:35)


フィラメントホルダーを付けてみたけど、何処に付けてもなんか邪魔....


XY軸移動用のベルトを掛けようとしたのですが、キツくてどうしても嵌まらない。
....と思ったら間違い発見!
パッシブ・ブロックの向きが180度逆じゃないか!(爆)


これですんなり掛かった(笑)!(2019.10.27 11:08)
何やってんだか....


取り敢えず組み立ては完了ですが、まだ動くかどうかは分かりません(笑)


配線は、PCの自作ができる方であれば問題なく組み上げられると思います。


配線は間違っていないはずですが、付属のLED照明が点灯しない。
まあ、中華製だし初期不良かなと思っていたんですが、コネクタの位置をクーリングファンの方と差し替えてみると、今度は点灯します。そして、クーリングファンは動かない。
つまり、マザーボードのポートの不良であることが判明。


中国の販売元に連絡してみるも、代金の決済が終わったとたん、何の返答もなくなりました。
まあ、このくらいは想定内です(笑)
結局、クーリングファンのコネクタポートから自動車用のエレクトロタップで分岐してLED照明を繋いで両方生かしました。


配線をカバー内に収めて、このまま運用することに決定。


おまけレベルの照明なのですが、有ると無いとではベッド上の明るさが大きく違うのでこれは必要!


取り敢えずテスト用の付属のPLAを使って印刷してみます。
フィラメントを挿入していきます。



オートレベリングを有効にするには、ファームウェアのアップデートも必要でした。
自分はCura上から実行しました。
デフォルトが手動レベリング(Z軸にもリミットスイッチを使用する方式)用になっていて、装着するオプションに応じて用意されたファームウェアに書き換える、という事のようです。


T rodの取り付け位置が1〜2mmほど右に寄ってしまったようで、ノズルヘッドユニットに付いているX軸用のリミットスイッチがギリギリの所で作動せず、レベリング動作時に左に寄った際「ガガガガ」という音が鳴って止まってしまいます。


そこで、Slipwayのベアリング部分にタイラップを巻いて数ミリ手前でリミットスイッチが働くようにしたら、巧くいきました。


LCDパネルは2004というタイプ。2004年の事かどうかは分かりませんが、他のReprap系では購入時もすでに新しいタイプは出ていたようなので、旧式に分類される方なのかも。
ただ、シンプルで機能的ではあると思うので、自分としてはこれで十分かな。


テスト印刷開始。
PLAなので、ベッドを加熱しなくてもフィラメントが定着しないような事態にはなりませんでした。



この印刷物は何かというと....


百円ショップで小型テレビ用の回転台を買ってきて、Ender-4のフレーム内に置き、フィラメントをこの上に横置きして配置することにしたため、中心部にフィラメントのリールがズレないような軸材を印刷し、テレビ用回転台の中心に固定しました。


設置スペースの都合上、後ろにも横にも付属のフィラメントホルダーを取り付けられる場所がありません。なのでこの方法は自分としては最善の方法です。


アルミベッドの上に貼り付けるタイプののマグネットシート。
これを使っても、ガラスボードを使っても、温度変化に敏感なABSの初期定着がうまくいきません。


ていうか、初期定着不良の原因は上述しているとおり、オートレベリングセンサーの不具合だったのですが、この時点ではまだ気づいていません(^^;

これはやはり、専用のケースを自作して、保温性能を上げないとABSの印刷は難しいと考え、我が家の得意技、英仏アンティーク家具風ケースを製作。


詳細はこちらから。


1)Oct/2018 3Dプリンタの組み立て 
2)Jan/2019 3Dプリンタケースの製作 
3)Mar/2019 3Dプリンタケースの改良 
4)Sep/2019 オートレベルセンサー撤去 



  PageTop  
< BACK diaryTop NEXT >
  E-mail