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2024年8月5日。【25.7.27追記・25.8.10再追記有り】 取りあえず動作するようになったカスケードガレージの電動化シャッターですが、やはり時々途中停止します。 20年超えの古いシャッタースラットは、上げ下げ時の抵抗も増えており、スマートガレージKITの適用の目安である「片手で持ち上げられる」も結構ギリギリな感じです。 特に夏場の暑い時期は鉄製のスラットは膨張して抵抗が増すようで、停止する頻度が増えます。 ![]() で、多少速度が落ちてもトルクが大きいモーターに交換してやれば、この症状は改善するのではないだろうか?という事で、モーター交換を思いつきました。 適切なスペックを知るには、まず純正品がどのようなトルクのモーターを使っているのかを調べる必要があります。 ![]() 念のため、システムデザインさんにメールで問い合わせてみましたが、案の定返答はありませんでしたので、自分で調べるしかありません。 という事で、ナイロン製遊星ギアが破損して交換となった純正モーターの初号機を修理することにしました。 ![]() ![]() このモーターの遊星ギアのサイズは14歯、外形9.5mm、内径4mm、幅6mm(共に実測)ですが、アリエクでこれに合致する物が見当たらず、唯一利用できそうなものが14歯、外形9.5mm、内径3.2mm、幅5.8mmというサイズのギア。 ![]() ナイロン製ではなく金属製ですが、これなら内径をボール盤で拡げれば使えます。 8月5日に注文し、届いたのが8月25日。1個230円を3個。 ![]() 9月15日。 届いたギアの内径をボール盤を使って4.2mmのドリルで拡げる。 ![]() ![]() 3個とも穴を拡げました。 ![]() グリスを塗布して組み立てます。 ![]() ![]() ![]() テスト用の電源には、警告が鳴って交換した後の少し弱ったUPS用バッテリー2個を充電して使います。直列つなぎで24Vです。 ![]() これは2018年頃に買った非接触型回転計(amazonにて1,580円)。 ![]() これで純正モーターの回転数を計測します。 ![]() シャフトにはピニオンギアを装着した状態なので、3mm幅くらいにカットしたアルミテープを貼っておきます。 ![]() 24V時に74.0rpmを示しました。 ![]() バッテリーを1個に減らしてみます。 ![]() 12V時は37.0rpmでピッタリ1/2。 ![]() 下の表は純正と同じ42GP-775というφ42mmのDCモーターの一覧です。 無負荷回転速度74rpmという製品がないのですが、この表の中ではサイズ的にプラネタリーギア部の長さが52.8mmのLevel 3というグループに属していると思われます。 ![]() 上の表をグラフ化してみたのが以下。 これから読み取ると、純正のモーターは、およそ36kg・cmのトルクと推定することができます。 また、アリエクで調達可能なこれらの製品の中で、純正よりも大トルクでかつ今回の用途に適してそうなモーターは60rpm/44kg・cm、43rpm/57kg・cm、32rpm/66kg・cm辺りの製品となりそうです。 ![]() 注文したのは43rpmのモーター。60rpmではもしかするとトルクが不足して純正と変わり映えのしない結果になりそうな気がして怖かったので(笑) はじめのショップでは、頼んだモーターが3度運送会社に拒否られるというトラブルに見舞われました。 下は注文が3度目のクローズとなってしまった時の様子。(このときは32rpmのモーターを入手しようとしていました) ![]() ショップとのやりとりで分かったのは「航空会社が磁石を使った製品の運送を拒んだ」という事らしい。 発送地域、運送会社等、様々なファクターが絡んで届いたり届かなかったりするようだ。 という事でショップを替えた。 JINJIEGENG Machinery(読み方分からんw)というアリエクに出店しているストアです。 ![]() すると今度のショップは、届いたけど間違えて12V/43rpmの製品を送ってきた。 ![]() 当然24Vでは2倍の回転数になり、トルクは純正モーターよりも小さいものとなる。 ![]() ただ、返品対応も一応ちゃんとしていたので、再度注文。やっと届いた ┐(´-`)┌ ![]() 上が純正、下が今回届いた43rpm/57kg・cm(24V)の42GP-775 DCモーター。 シャフト径は8mm。価格は送料込で3,500円程度。(製品価格は2,200円とかです) ![]() モーター側を平型端子、電源側をギボシ端子でかしめたケーブルを作成。 ![]() ![]() 24Vで43rpmを確認。仕様上、純正よりも21kg・cm大きい57kg・cmのトルクを得られるはず。 ![]() ![]() 左が新しいモーター、右側が純正モーター(改)。 モーターシャフト直結の太陽歯車に組み合わせられている遊星歯車をナイロンから金属に変更したので「改」(笑) ![]() 太陽歯車の径が8mm。 ![]() 遊星歯車の径が11mm。 ![]() このモーターを純正モーターと交換してみる。 ![]() 2025年4月30日。年が明け、春になりました(笑) 作業開始。プーリーのカバーを外します。 ![]() 純正モーターの取り外し。 ![]() 内歯車を外していきます。 ![]() 下側を外しました。 ![]() 上側も外し、モーター固定用のブラケットも外します。 ![]() 取り外し完了。 ![]() 交換するモーターをブラケットに固定します。 ![]() ![]() モーターをシャフトに固定。 ![]() 内歯車を取り付けます。 ![]() ![]() 下側のピニオンギアを挿入します。 ![]() ピニオンギアをイモネジで固定。 ![]() ギボシ端子のオスメス間違えてました(笑) ![]() メスメスで中継ケーブルを作成して接続。 ![]() 動作したけどプラスマイナス逆でした(笑) ![]() モーター部の平型端子を入れ替えて配線完了。 ![]() 動画は43rpmのモーターに交換後の動作を記録したもの。 動作はイイ感じです。ギア音がやや大きいのは逆に安心感があります。 純正の弱々しい感じがなくなり、しっかりとスラットが上下します。 理論上74/43=1.7倍、上下に時間が掛かるはずです。 が、設定もそこそこに作業をやめてしまった理由...それは、電源喪失時に手動で持ち上げられない事に気が付いてしまったからです。(動画の中で、上昇途中で止まっているのは、スマホアプリによる設定を実行していないためです)
実は、今回60rpmモーターへの交換を実施する少し前に、当サイトを見てくれたという方からメールを頂きまして「60rpmのモーターに交換して問題が解消した」という報告を頂いておりました。 「アプリの設定を終えた後は電源喪失時の手動動作も確認できた」とのことでしたので、かなり勇気づけられました。 実際のところウチのシャッターの場合、電源喪失時、下ろすのは行けましたが、持ち上げるのはかなり難儀しました。ただ、緊急時は無理矢理にでも上げられそうな感じ。 設定完了後、今のところ途中停止はしていませんが、上昇時間をストップウォッチで計ったところ、純正は19.6秒、交換後のモーターが20.6秒で、殆ど誤差の範囲という結果でした。 グラフには抵抗が大きい事を示す箇所が下から1/3位の所と上から1/3位の所の2箇所ありますが、共にスラット上昇時の電流の上限である右端の●ラインには全然達していないので簡単には止まらないはずです。 ![]() カタログスペック上はおよそ5秒弱遅くなるはずですが、実際は殆ど変わらないという結果となっています。 推定では8kg・cmというトルクの差があるはずなのですが、発揮されているのか疑問です。う〜ん...解せないなぁ.... まあ、得意の締めの言葉ですが(笑)...."様子見"です(笑 【再追記】 2025年8月10日。 60rpmのモーター、止まりまくりです。 やはり上昇・下降速度が純正と殆ど変わらないため、トルクが似た様なものなのだと考えられます。 そもそも74rpmと60rpmでスラット上下時間が変わらない理由...分かりませ〜ん^^; で、決断しました。再度43rpmのモーターに変更しました。 ![]() 途中停止する原因は、トルクの問題に加えてピニオンギアも関係ありだと思います。 ピニオンギアに関してはちょっと邪道な手法を試していたため一抹の不安はあったのですが「やっぱダメかぁ」という感じです(^^; 43rpmのモーターに装着しているピニオンギアは、イモネジがナメてしまって絶対外れない位ガッチガチに締めている(笑)純正のギアなので、逆にここが原因で問題が発生する可能性は低いです。 ![]() アプリの調整が終わり、作動させている様子。 上昇時間は26.3秒で、60rpmモーターの時よりも5.7秒遅くなっています。 「ミーン」というギア音が大きめで速度は遅いですが動作に弱々しさがないです。 これで、散々悩まされてきた途中停止トラブルは解消したのではないかな....多分
問題はトルクが大きいが故、電源喪失時に手動で上げることが困難なこと。 これについては、窓の追加で対応しようと考えています。 全閉状態の時はモーター取付部が内側で露出しているので、窓から入ってモーターを取り外せば手動で開閉対応ができます。 開閉中に停電になったときは...諦めるしかないでしょ(笑 あ、12Vでも動作するモーターなので、ホントに緊急なときはクルマのバッテリーから電源確保して直結で動作させることも可能かと思われます(試してないけど)。
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